印刷の種類

 文字や画像を版にする。それをインキで紙に転写する。印刷の原理や仕組みとは、たったこれだけのことです。ただし印刷が産業技術となるには、印刷を機械的に行えることが重要でした。すなわち印刷は、版を作る技術と印刷機との最適な組み合わせ、および利用分野が問い続けられてきた技術であり、いろいろな種類の印刷があります。
 

●オフセット枚葉印刷

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  現在の一般印刷の代表的な印刷方式です。印刷機には、1枚1枚が切り離されている枚葉紙をセットして印刷します。
 版式としては平版印刷で、版材は薄いアルミ板でできているPS版を使うのが一般的ですが、樹脂板や板紙をベースとする版材を使うこともあります。
 オフセット(OFF・SET)とは「付けて離す」といった意味であり、この印刷方式の仕組みをそのまま表しています。
 すなわちオフセット印刷は、版のイメージを直に紙に転写するのではなく、版に付けたインキを一度ブランケットに転写(OFF)してから紙に転写(SET)する間接的な印刷です。
 オフセット枚菓印刷機は、印刷できる紙の寸法、一度に刷れる色数などの違いで大小さまざまな印刷機があります。

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●オフセット輪転印刷

 印刷機には巻取り紙をセットして印刷するオフセット印刷で、枚葉印刷よりは数倍の高速で連続的に印刷できるので、新聞、折込みチラシなど短時間で大量の部数が必要な印刷に適しています。折りなどの後加工もインラインで行えます。ただしセットできる巻取り紙の幅はオフ輪機の機種に制約されます。A判の場合は1,250mm、880mm、625mmの3種類、B判の場合は1,085mm、765mm、383mmの3種類の用紙幅があります。

●グラビア印刷

 雑誌のグラビアページなどで馴染みのある印刷方式で、版式としては版表面が非印刷部分になる凹版印刷です。
 版は、版胴または版胴に巻きつけるラップアラウンド版の表面をエッチングした状態に作成します。製版方法には、主なものでもコンベンショナル法、網グラビア法、電子彫刻法の3種類があり、印刷目的によって使い分けられています。
 コンベンショナル法は、写真グラビアのような高品位な印刷に適しています。網グラビア法は、新聞の日曜版、雑誌、DMなどの印刷に向いています。菓子や食品を包装するフイルム資材や袋の印刷には電子彫刻法が使われます。


●フレキソ印刷

 表面が平滑でない被印刷物への印刷に適した印刷方式です。
版式としては凸版印刷で、版材には柔軟性のある樹脂板やゴム板(フレキシブルレリーフ)が使われます。
 印刷機は専用の輪転機が主で、印刷後にインラインでさまざまな加工ができるようになっています。
 ダンボール、紙袋、牛乳パックなどの紙器、封筒などの印刷が主な用途ですが、シール・ラベル、軟包装等フイルム、建材ほかへの印刷にも使われます。地球環境に優しい水性インキやUVインキが使えるので、グラビアに代わる印刷方式として評価が高まっています。


●活版印刷

 かつては新聞、雑誌、書籍の印刷に多用された印刷方式ですが、現在は葉書や名刺の印刷に姿を止める程度になってしまいました。文字組版には、鉛合金でできた活字(活きている字の意)を使うので活版印刷の呼び名が生まれたといわれています。
 版式としては凸版印刷であり、版は活字と写真製版した凸版(版材は1ミリ厚程度の銅板や亜鉛版)を組み合わせて作成します。それを平台式の活版印刷機に組み付けて枚英紙で印刷する方式が一般的ですが、新聞印刷などでは輪転機が使われていました。
 写真、絵画などを写真製版してカラー刷りする場合は原色版と呼び、口絵や美術書の印刷に使われることがあります。


●スクリーン印刷

 紙だけではなく、布、皮、ゴム、樹脂板、金属板などへの印刷が容易であるため、商業美術、生活用品、工業製品の分野で幅広く使われている印刷方式です。版式としては、「プリントごっこ」(理想化学㈱の商標)や謄写版印刷と同様の孔版印刷です。
版材には、絹糸や化学繊維で織られた紗やステンレス製のスクリーンメッシュを、ステンレス枠にきつく張ったものを使います。そのスクリーン枠に感光剤を塗布して、文字や絵を焼き付けることで版が出来上がります。印刷は手刷りか半自動式の印刷機を使って行いますが、インキの乾燥が遅いので多色刷りや大量の印刷には時間がかります。

 

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●シール印刷

 シール、ラベル、ステッカーのような、物に貼る印刷物の印刷を総称してシール印刷といいます。印刷機は総じて小型ですが、タック紙(剥離紙)や粘着シートに印刷して型で打ち抜くといった後加工が連続的に行えます。版式としては、樹脂版による凸版印刷が一般的です。


●フォーム印刷

 従来は帳票印刷といわれていた印刷分野は、現在はフォーム印刷と呼ばれています。アウトプット用、インプット用、メーリング用といったビジネスフォーム、および機能性の高い伝票類が主な印刷品目です。
 版式は輪転式の凸版印刷が普通でしたが、最近はオフセット輪転印刷機の利用が主流になっています。印刷と同時に、ミシン目やマージナルパンチ入れ、ナンバー印刷、シートカット、丁合といった加工がインラインで行えるよう工夫されています。


●オンデマンド印刷(狭義のデジタル印刷)

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 パソコンを使って作成したデジタル組版データから、ダイレクトに印刷物を作成する印刷方式です。
 使用する印刷機には、有版デジタル印刷機と無版デジタル印刷機の2種類があり、無版の場合を特にオンデマンド印刷(Print On Demand)と呼んでいます。小ロットの印刷物を短納期で仕上げられるのがオンデマンド印刷の特徴です。
 有版の場合は、ダイレクトイメージングまたはOn Press CTPとも呼ばれるように、印刷機にセットされた版にイメージングをする仕組みになっています。印刷品質はオフセット印刷と似ています。
 

 

●出版印刷

  出版社や新聞社などが発行する商業出版物(書籍、雑誌、地図、教科書、学習参考書など)に対応する印刷分野をいいます。研究機関や団体が発行する書籍類も含まれます。

●商業印刷

  一般企業や団体の事業活動に使われる印刷物を対象とする印刷分野で、宣伝用印刷と業務用印刷に大別されます。
宣伝用印刷では、チラシ、パンフレット、リーフレット、ポスター、POPなどが主な印刷品目となります。業務用印刷では、カタログ、会社案内、マニュアル、報告書、説明書、広報誌、社内報、名簿など、内部業務やコミュニケーション用の印刷物が主な印刷品目となります。

●事務用印刷

  名刺、封筒、ノート、手帳などの事務用品一般と、伝票やビジネスフォームを印刷品目とする印刷分野です。市販品は事務用品メーカーが印刷して文具店や書店で販売されますが、特注品の印刷加工は一般印刷会社で対応しています。ただし複合伝票やビジネスフォームの印刷加工については専業化しています。

●証券印刷

  株券、商品券、チケットなど、金銭や信用に係わる証書類やカード類の印刷を証券印刷と総称します。総じて特殊な技術要素やノウハウが伴う印刷分野です。

●包装その他特殊印刷

  一般企業や団体の事業活動に使われる印刷物を対象とする印刷分野で、宣伝用印刷と業務用印刷に大別されます。
包装紙、紙器、ダンボール箱といった包装・荷造り資材の印刷と、工業製品に対する印刷(建材や布地へのプリント柄の印刷、電気・電子部品に対する印刷など)を総括した印刷分野です。印刷方法は、特殊印刷に分類される各種の印刷方式が使われます。


 

印刷分野と印刷物の種類

●上製本/並製本

  書籍を、表紙の作り方と付け方の違いによって区別した呼び名です。
 上製本(Case Bound:本製本ともいう)の表紙は、本文を綴じたもの(糸かがりが普通)とは別に仕立てられ、一般に中身よりは大きい厚表紙になっています。また表紙の接着に丁寧な加工が施され、前後には必ず見返しが付いています。
 並製本(Paper Backs:仮製本ともいう)の表紙は、1枚の紙(印刷表紙)で中身をくるんだ状態になっており、綴じ加工、接着加工も簡易です。

●ページ物/ぺら物

 内容、判型に関係なく、ページ数のある印刷物を「ページ物」といいます。製本仕様はおおむね、無線綴じや中綴じによる並製本です。「ぺら物」は、1枚の紙だけで仕上げる印刷物のことをいいます。

●ビラ/チラシ

  どちらも宣伝広告用のためのぺら物ですが、「ビラ」は貼り紙を意味するBillが語源といわれています。
一方「チラシ」(Flyer)は、配り散らしたり撒き散らす印刷物の意であり、江戸時代は「引き札」と呼ばれていました。

●パンフレット(Pamphlet)

  「仮綴じされた小冊子」を意味し、用途や内容によって、商品パンフレット、旅行パンフレット、会社案内などと呼び分けています。

●リーフレット(Leaflet)

  「折りたたみ式の簡単な印刷物」を意味し、用途や情報量の点ではパンフレットとチラシの中間的な印刷物という印象になります。

●ブックレット(Booklet)

  パンフレットの一種ですが、本のような編集で実用記事、読み物などをまとめた冊子を指します。総じて小型のハンディな印刷物として仕立てられます。

●ムック(Mook)

  MagazineとBookをもとにした造語で、雑誌のような編集方式によって出版された単行本を指します。料理、趣味、旅行、パソコンなどの実用図書の例がたくさんあります。

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